【事例紹介】目標設定で自宅で入浴ができたケース

事例事例紹介

目標設定は私たちが日常生活の中で当たり前のようにしている事です。

例)
・料理を作って食べる(お腹が空いたから、朝ごはんを食べるために料理を作ろう)
・掃除をする(子供達が散らかした部屋で過ごすのは嫌だから、掃除をして綺麗にしよう)

しかし、リハビリテーションになると目標設定ができない方が非常に多くいます。

なんのためにリハビリをしているのか?どんな姿になりたいのか?が明確でなく、ただなんとなくリハビリをしていて時間だけが過ぎていくケースです。

今回は、目標設定を具体的に行うことで発症から4年間できないと思っていた自宅での浴槽への出入り動作ができるようになったケースについてご紹介します。

1年前と同じリハビリを繰り返し行っていた

相談者は脳卒中当事者で発症から4年経過している方です。

お悩みとして「リハビリがうまくいっていない」「どうすればいいのかわからなくなっている」といった悩みでした。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

Aさんのことを知りたいので、お話を聞かせてください。

Aさん
Aさん

はい。

発症から4年経過しており、訪問リハビリを続けて行っています。

リハビリの方にはよくしてもらっていますが、体のフラつきが良くならなくてどうしていいものかわからなくなっています。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

体のふらつきが良くならないんですね。

Aさん
Aさん

そうなんです。

バランス練習などを繰り返ししていますが、1年前に指導されたことを最近になってもう一度指導されています。

私が覚えが悪いので行けないのですが・・・

1年間頑張ってリハビリをしてきたのに、1年前と同じことを指導されてどうすればいいかわからなくなっている状態でした。

全てではありませんが、介護保険リハビリの現場ではよく聞く状況ですね。

ここでの課題

療法士とAさんとの間でのコミュニケーションが適切にできていたのか?

なんのためにリハビリをしているのか?

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

Aさんはふらふらするとお悩みなんですが、リハビリでバランス練習をしてどのようになりたいのですか?

Aさん
Aさん

立っている時や歩いている時にふらふらしないようになりたいです。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

なんで立位や歩行がふらふらしないようになりたいのですか?

Aさん
Aさん

なんで?

う〜ん。ふらふらしないようになれば安全だから。かな

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

ふらふらしないで安全に立ったり、歩いたりすることで具体的に何ができると思われているのですか?

Aさん
Aさん

お風呂です。

今は家の浴槽には危なくて入れていません。

入浴は主人に負担をかけているので、ふらふらせず安全に移動でいればお風呂に入れるからです。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

お風呂動作でご主人に負担をかけていることが気がかりだったんですね。

リハビリをしてお風呂に安全に入れるとご主人も安心しますね。

リハビリ内容は手段であって、目的や目標によって内容が変わってきます。

ここ1年間は「ふらふらするから」という課題に対して、「バランス練習」をしているので、何がどう変わればこの課題が解決するかが不明確だったのです。

その結果同じリハビリを繰り返していたという状況でした。

よくよく話を聞いていくと「ご主人に負担をかけていること」に不安を感じており、生活の中では「入浴動作」場面で特に課題を感じていたことがわかりました。

ここでの課題

・リハビリをする目的や目標が、Aさんの生活や気持ち、想いに沿ったものではなかった

具体的な目標が決めればリハビリ内容が自ずと決まる

Aさん
Aさん

入浴の際にふらふらすることが解決できれば、主人への負担も少なくなって、私もお風呂に入れて嬉しいかも。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

そうですね。まず目指すところが見えてきましたね。

入浴が安全にできるための目標シートを作成しましょう‼︎

その日のうちに、安全に入浴ができるための目標シート(仮)を作成しました。

内容としては、「ご主人の負担が少なく安全に入浴ができる」という抽象的あ達成すべき目標を掲げ、そのための構成要素を洗い出し、Aさんが実施する項目を現状を確認しながら作成します。

※具体的な完成形は脳カラHPのサービス内容をご覧ください。

そして、完成したら療法士への共有をAさんから行っていただきました。

その後の経過報告のやり取りを以下に載せます。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

療法士の方と共有していかがでしたか?

Aさん
Aさん

目標を共有したことですぐに入浴動作確認など対応してくれましたよ。

でも、訪問PT先生は「Aさんは入浴ができるもんだと思っていました」と言われました💦

ぜんぜん共有できていなかったですね・・・

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

すぐ対応してくれたんですね。

それはよかったですね。

Aさんと療法士の方の中で解釈のずれがあったのに気がついてよかったです。

Aさん
Aさん

そしてさらにびっくりしたのが、療法士の方に動作を指導してもらってゆっくり行ったら、浴槽に入れたんですよ〜〜〜

主人にも動きを見てもらったら「これなら一人でも入れそうだね」って言われましたよ〜

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

え〜すごいじゃないですか‼︎

じゃあ一気に目標達成できそうですね。

Aさんと療法士の間に齟齬があり、目標に対するリハビリ内容が合っていない状況が続いていたのですが、Aさんが何のためにリハビリをしているのか?を明確に伝えて共有したところ解決に大きく近づきました。

今までは「リハビリ方法ややり方が間違っているんじゃないのか?」「私の覚えが悪いんじゃないのか?」と木で言うと枝葉の部分ばかりに目が入っていたが、根本は幹の部分、つまり自分自身について知ることで目標が具体的になりリハビリ内容が決まっていきますね。

まとめ

いかがでしたか?

今回のケースのように目標が具体的に決まればすぐに結果がでるのか?と言われると、そうでないケースも大いにあると思います。

しかし、自分自身が何のためにリハビリをしているのか?を明確にできるだけで、目標への道筋(やるべきこと)が見えてくることは間違いありません。

目標への道筋が見えることで、少なからず迷いがなくなります。結果的にうまくいっても、そうでなくても自分が決めた目標であれば納得がいく形でリハビリを進めていけるんじゃないでしょうか。

リハビリテーションには「全人間的復権」と言う意味があり、「その人らしく生きる・生活するための」手段として私たち療法士が関わるリハビリは一手段でしかありません。

あくまで主役は本人(当事者・利用者)であることは忘れずに、関わっていけれたらと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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