内反尖足の原因と対策・リハビリについて

内反尖足脳梗塞 リハビリ

脳卒中後で最も多くの方が困る症状で、歩行に支障が出る内反尖足があります。

内反尖足により日常生活に支障が出るため、装具を使用したり、リハビリテーション介入の中心になることもあります。

今回は、脳卒中後の内反尖足についての原因と対策・リハビリテーションについて説明していきます。

まずは症状や原因を知り、どのようにリハビリを行ったり工夫することが効果的なのかを知りましょう。

内反尖足とは

内反尖足とは、足関節が内反(内返し)を伴いつつ底屈(つま先が下を向いている状態)している状態のことを言います。

脳卒中後に脳からの運動指令が筋肉に適切に伝わらないことで起こる、脳卒中片麻痺の特徴的な症状の一つです。

内反尖足については、主に動作時の筋緊張が亢進することで起こる症状になります。

内反尖足の原因
  • 動作時の麻痺側下肢の筋緊張亢進による、下肢伸展パターンの増強
  • 下腿三頭筋の筋緊張亢進

動作時の麻痺側下肢の筋緊張亢進による、下肢伸展パターンの増強

内反尖足は、歩行中の特に立脚期(麻痺足で支える時期)が影響して出現します。

なぜ麻痺足の立脚期に筋緊張亢進するのかというと、良い方の足が過剰に支え、麻痺足の支えが頼りなく不安定になるため痙縮が強くなり緊張が亢進するのです。

つまり、麻痺足の緊張亢進は結果的に見ると良い方の足が過剰に庇っている可能性もあります。

麻痺足の緊張亢進すると、下肢伸展パターンが増強しますが、具体的にどの筋肉の筋緊張が亢進するのでしょうか。

下肢伸展パターンで亢進する筋肉
  • ハムストリングス
  • 内転筋群
  • 下腿三頭筋
  • 足趾屈筋群

下肢伸展パターンで、内反尖足に強く影響している筋肉は下腿三頭筋となりリハビリ介入においても注意深く評価しないといけない部分になります。

内反尖足に対する対策について

内反尖足に対しての対策として、装具療法、フェノールブロックなどが脳卒中治療ガイドラインでも推奨されていると報告があります。

内反尖足に対しする対策
  1. 装具療法
  2. フェノールブロック

リハビリテーションについては、別項目で詳しくご説明させていただきます。

1.装具療法

脳卒中後の内反尖足により影響がでる動作は、立位や歩行です。

立位については、左右の非対称性(麻痺側への荷重量の低下)による立位バランスの低下、転倒リスクの増加が挙げられます。

歩行については、麻痺側下肢立脚時間の減少、歩行速度の低下、歩行時のバランス低下、転倒リスクの増加が挙げられます。

短下肢装具を使用すると、装具なしに比べ立位バランスの左右対称性、ケイデンス(1分あたりの歩数)および歩行速度が改善し、カーペットや床上での歩行が改善した。

Mindsガイドラインライブラリの脳卒中治療ガイドライン2009

このように、内反尖足による立位や歩行に対するリハビリに、短下肢装具の利用は効果的で推奨されています。

2.フェノールブロック

フェノールブロックとは、神経ブロック療法で、脳卒中後の痙縮筋(緊張が高まっている筋)に対して緊張を抑制するための療法になります。

痙縮により内反尖足がある患者に対して、7%フェノールを用いて脛骨神経をブロックすることにより、Ashworth scaleや筋電図上の痙縮改善効果があった。

Mindsガイドラインライブラリの脳卒中治療ガイドライン2009

ただし、持続効果は3ヶ月程度〜2年(麻痺の程度によって異なる)と言われており、その間にリハビリテーションと併用して立位バランスや歩行訓練を行なっていくことが重要と言われています。

内反尖足に対するリハビリテーションについて

内反尖足は動作時、特に歩行中の立脚期の支え方が原因で起こると考えられています。そして、麻痺足だけでなく非麻痺足への支え方もとても重要になります。

非麻痺側の過剰な支え方を改善できないと、麻痺足のリハビリを一生懸命行ったとしても、内反尖足を改善することはできません。

脳カラのリハビリでは、①非麻痺側の支え方 ②麻痺足の支え方の順でリハビリを進めていきます。

そして、歩行中に内反尖足になる方はほぼ全員が立位バランス時にも内反尖足になっている可能性があります。なので、歩行場面ではなく、立位バランスでの支え方のコツをご紹介していきます。

内反尖足に対するリハビリのコツ
  • 歩行時の内反尖足で悩んでいる方の大半は立位バランスから影響が出ている
  • リハビリポイント①非麻痺側の支え方
  • リハビリポイント②麻痺側の支え方

①立位バランスでの非麻痺側の支え方のコツ

内反尖足が起こる方の特徴は、非麻痺側(良い方)の足に頼って支えていることです。

非麻痺側の足で支えることで、麻痺側の足にも緊張の高まりが伝わり(放散反応)筋緊張亢進が起こり内反尖足になるといった悪循環が起こっているのです。

放散反応は脳卒中以外の人でも起こる

例)
・片脚立ちをした際に勝手に全身に力が入る(脚だけでなく体全体)
・腕相撲をした際に反対の手にも勝手に力が入る

では、非麻痺足をどのように意識をして支えることが重要なのでしょうか?

非麻痺足の支えるコツは『足裏全体でジワーっと支える』ことです。

非麻痺足に頼っている時は、踵だったり足裏外側、足趾で偏った状態で支えている方がほとんどです。

なので、『足裏全体でジワーっと支える』ことがコツになります。

非麻痺側の内反尖足になりやすい支え方:左 と適切な支え方(コツ):右

②立位バランスでの麻痺足の支え方のコツ

①の非麻痺側の支え方が掴めたら、次は麻痺側の支え方になります。

麻痺側の足の支え方についても、①と同様に足裏の支え方がコツになります。

非麻痺側に比べより細かく適切に感覚を感じる必要があります。手順としては、麻痺側の足裏を内側⇨全体⇨外側の順番に感覚を感じることです。

内側から全体、外側にかけての足裏の体重移動を適切に行うことが重要です。この細かい感覚の変化を感じることや体重移動をいきなり歩行の中で行うことは難しいです。なので、まずは適切に感じ取れる立位バランス動作でリハビリを行うことがポイントです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

内反尖足でお悩みの方で、今まで筋トレやストレッチを行っていたけどうまくいかなかった方は、体の使い方や感覚を適切に感じ取れない状況になっていた可能性があります。

麻痺の特性を理解し、コツコツリハビリを進めていくことが脳卒中のリハビリにおいては重要になります。

ただやるだけ、してもらうだけのリハビリからは卒業しましょう。

そして、一人で悩んでいる時間はもったいないので、今すぐ相談ください。公式LINEや脳カラサイトのお問い合わせからお気軽にご相談ください。

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参考

・Minds ガイドライン 脳卒中治療ガイドライン.2009
・脳卒中片麻痺患者における歩行時内反尖足の出現に影響する因子.2007

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