目標達成するための4条件

目標達成 4条件脳梗塞 リハビリ

脳卒中だけでなくリハビリを受ける中で『目標設定』が一番大切といっても過言ではありません。

うまくいく方」と「うまくいかない方」の違いの一つに目標の立て方なんです。

今回は、良い結果や変化を生むための目標の立て方5つの条件をご紹介します。

日常で立てる目標とリハビリでの目標の乖離

5つの条件をご説明する際に、我々は日常生活の中で常に①課題を持ち ②目標を立て ③実行しています。

例)食事の準備をする
課題:お腹が空いている(空腹を満たしたい)
目標:夕食時間に食事を食べる
実行:食事の準備(買い物をし、料理をする)をし料理を食べる

日常生活では食事をする以外でも、洗濯、掃除、睡眠、トイレなど目標を立てて実行しています。

しかし、脳卒中リハビリにおいてはどうでしょうか。目標は療法士が決めていたりしませんか?

療法士が決める目標の例
  • 歩行の安定性向上
  • 杖なし歩行の獲得
  • 麻痺手の生活での使用頻度を上げる
  • ADL(日常生活動作)の向上   など

もちろん療法士と脳卒中当事者・家族で一緒に決めている方もいると思いますが、言われるがままに目標が決まっている方もいると思います。

自分の生活に関わることなのに、日常生活の目標設定とリハビリの目標設定では乖離が生じます。

リハビリの目標も日常生活の中で決めている目標と一緒で①課題を持ち ②目標を立て ③実行を自ら決める習慣を身につけることが重要なんです。

良い結果を生み出す目標設定4つの条件

  1. 具体的で挑戦的な目標である
  2. 課題を達成する能力があること
  3. 報酬がある
  4. 支援者が支持的である

1.具体的で挑戦的な目標である

目標は具体的に設定するべきです。細かく設定すればするほど達成率が高くなり、成功体験を積み重ねることができます。

細かい目標が達成できたら 次の目標が出てくるのでどんどん挑戦的で前のめりにリハビリ行うことができます。

具体例『2ヶ月後に宝塚に一人で観に行く』
⇨大きな目標が設定できると、その目標を達成するために必要な細かい目標が決まってきます。
⇨「いつ」「どこで」「誰と」「何を」「なぜ」「どのようにして」といった細かく目標を決めましょう

逆に「歩行を良くしたい」など抽象的な目標の場合、何を成し遂げたら目標達成するのかわからないため、永遠に「歩行を良くしたい」という目標を掲げたままリハビリをしないといけません。

2.課題を達成する能力がある

2ヶ月後に宝塚に一人で観に行く』といった目標に対して、ご自身のお体や環境、社会情勢などを踏まえて実現可能なのかを考える。

例えば、一人で歩行ができず車椅子で移動している方で「2ヶ月後に一人で歩行ができるのか?」、コロナで外出が怖いや外出控えるように言われている中で「2ヶ月後に宝塚に行けるのか?」といったことを検討する。

ここに関して言えば、いきなり当事者の方一人で考えることは難しいので療法士やご家族と一緒に検討していく必要があります。

3.報酬がある

  • 〇〇に会えて嬉しかった
  • とてもワクワクした気持ちになれた
  • 宝塚で欲しいグッズが買えた
  • 目標達成したことで家族が喜んでくれた

上記のように目標が達成した時や目標を達成するための課題をした際に内的・外的な報酬はとても大切なモチベーションになります。

継続してモチベーションを高めるためには内的(嬉しい気持ちになれた/〇〇が喜んだ)な報酬を高めることが重要です。

4.支援者が支持的である

日常生活の行為に比べ、リハビリの目標に関して言えば支援者の存在は重要になります。

なぜなら脳卒中後遺症の症状の評価は自分では把握しきれないからです。

目標を共有した上で、体のことはリハビリ専門家に診てもらったり意見をもらうことが大切です。

そして、リハビリ時間以外は家族と過ごす時間がメインになるので、ご家族の方の協力は大切です。

まとめ

目標設定についての重要性は研究分野でも証明されてきています。

その中で『目標設定を行う場面に対象者自身も参加することが、より良いパフォーマンスを生む』と報告されています。

また、目標を達成するための感情やモチベーションについても、『自身が目標設定に関与し、取り組むことが感情を変化させる可能性がある』と言われています。

このように、生活では自ら目標を決めて実行しているのに、自身の今後の生活に関わる脳卒中リハビリにおいて目標を自ら設定できないわけありません。

リハビリがうまくいかなく悩んでいる方は、「〇〇法をしていないから」「自分の努力が足りないから」など手段に目がいきがちですが、実は自分自身の目標が明確になっていないだけです。

目標が明確になればどんなリハビリをしていても、うまくいく可能性はでます。

伸び代しかない皆さんへ少しでも参考になる内容になっていれば幸いです。

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参考文献

1:Locke EA, Shaw KW, Saari L M, Latham G P. Goal Setting andTask Performance: 1969–1980.

2:Latham GP, Yukl GA: A Review of Research on the Application ofGoal Setting in Organizations.

3:自己目標設定が作業成果と感情に及ぼす影響-大学生を対象とした折り紙課題.2019


コメント

  1. 細川 宏純 より:

    「目標を定め実行する」、そのとりです。現役の頃「企画」担当でした。その体験から「企画のすすめ」をA3に100ページにまとめました。10数名の部下に夫々の目標達成の手法を学ばせ、A3一枚にロードマップを描かせ、私の上司に直接説明させました。現状からどう経営資源を使いながら目標に達成するか、重要局面は何処かまで表せるように。
    2004年脳梗塞で7ヶ月リハビリを受け、退院時テラピストと相談しながら達成目標を(茶碗でお茶漬けをかき込む)とし、そのためには掌を上にし(腕のねじりと保持筋力)その状態で口元に移動し保持等動作を細かく分けそのためのリハビリ方法を書き上げました。現在プラスチックの茶碗でお茶漬けを楽しんでいます。開始時点では麻痺ての指・手首・の動きは出来ませんでした。小道具は手作りしました。

    • 石飛拓朗石飛拓朗 より:

      リハビリだけでなく日々の生活や仕事においても「目標を定め実行する」といったサイクルをいかに回せるかは重要なことですね。
      身体面は体のプロの療法士と一緒に考えないといけませんが、目標設定細かく設定することでやることが明確になりますね。
      指と手首が動かない状況からお茶漬けを食べれるような上肢の機能まで改善されており素晴らしいです。

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