片麻痺当事者と『絵画』について考える

絵画当事者インタビュー

脳卒中後の片麻痺の症状によって、日常生活だけでなく以前行っていた趣味活動が行えなくなったという方も多くいると思います。

この記事をみている方にもいるかもしれませんが、絵を描くことを諦めてしまった方や、描けなくなったという方も多いんじゃないでしょうか。

今回は、発症してから本格的に絵を描くようになったという片麻痺当事者のRさんにインタビューさせていただき『絵画』についてリハビリだけでなくさまざまな観点から考えていきたいと思います。

私自身、このインタビューを通してとても大きの気づきがあり、Rさんと絵画について多くの方に知ってほしいと思いました。

片麻痺当事者Rさんの発症後に描いた絵画

片麻痺当事者のRさんは発症後に本格的に絵画をはじめています。

もともと、お店などの宣伝ポップアップ絵画を専門にしていたが、発症後からは写実的な絵を描かれています。

パステルという、乾燥した顔料を粉末状にし粘着剤で固めた画材を再度粉状にして使用し描かれています。

主に非麻痺側を使用していますが、これだと麻痺手の指で色を広げることもできるので、麻痺手も使用しながら絵を描いておられます。

片麻痺当事者Rさんに聞く、絵を描くことについてのインタビュー

ここからは、実際にRさんとのインタビュー内容を載せます。

Rさんにとって「絵を描くこととは?」「なぜ絵を描くようになったのか?」「麻痺手使って絵を描くについて聞いています。

Rさんにとって絵を描くとは?

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

Rさん描いている絵にとても魅力を感じてインタビューをさせていただきたいと思いました。

まず、Rさんにとって絵を描くこと(リハビリ?趣味?など)を、どのように捉えておられるのですか?

Rさん
Rさん

今の私にとっての絵を描いている時間は気を楽にして、ただ色に触れていたいという気持ちになるんです。リラックスできる時間ですね。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

リラックスできる時間なんですね。

リハビリとして絵を描いておられると思っていました。

Rさん
Rさん

描き始めて4年目くらいまではリハビリとして絵を描いていた部分が強かったですよ。

でも、リハビリとして絵を描くと「やらないといけない」となってしまって楽しくないんですよ。

なので、今はリハビリとか趣味とかではなく、純粋に絵を描くことが楽しく、絵を描く絵画制作が『私の居場所』となっています。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

純粋に楽しむ『私の居場所』と感じられる時間はとても大切ですね。

リハビリとして行うと、義務となってしまうので続かなかったり楽しくなくなったりする可能性がありますからね。

今現在の絵はとても素敵で上手な絵ですが、初めからこのような絵を描けていたんですか?

Rさん
Rさん

初めは、全くうまく書けませんでした💦

利き手が麻痺になったので、左手で書いていましたが、筆圧がコントロールできなかったです。初めはクマなど簡単に書ける絵を左手で幼稚園の子供がグチャーっと描くように書いていました。

それから次第にコントロールできるようになり、水彩や色鉛筆など試せるようになってきたんです。どんどん楽しくなってきましたね。

初めごろに描かれた「クマ」の絵
脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

楽しく絵を描くことでどんどんのめり込んでていかれたんですね。

楽しく自由に描けるというのはとても大切ですね。

  • 絵を描く時間が『自分の居場所』だと気づけた
  • 自分が楽しむことが一番重要で、結果的にリハビリになっている

なぜ絵を描こうと思ったのか?

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

発症してから本格的に絵を描かれと聞きましたが、なぜ絵を描こうと思われたんですか?

Rさん
Rさん

私は右麻痺で軽度ですが失語症がありました。失語症のリハビリ目的で絵画教室のある通所リハビリの施設に通ったことがきっかけになります。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

失語症のリハビリを受けることが主目的だったんですね。

Rさん
Rさん

そうなんですよ。
午前の時間は言語のリハビリを受けて、午後の時間は絵画制作をしていました。

本格的に自主的に描くようになったのは、施設に通って3年後くらいからでしたが。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

自主的に描こうと思われたきっかけは何かあったんですか?

Rさん
Rさん

絵を描いていると楽しくリラックスできるなと感じるようになったのはあります。

しかし、それ以上に周りの利用者の方の変化を感じての気づきがきっかけかもしれないです。

私より失語症が重度な方でも言葉が話せなくても、みんな絵を描くことに夢中になっていたり、笑顔になられ笑って過ごされているんです。

絵を描くことでコミュニケーションをとっていたり、感情を表現されていたりしているんですよね。

その雰囲気で『私が心地よくいてもいい場所』って感じたんですよね。

そこからこの場所で、自主的に絵を描こうという気持ちになりました。

  • 失語症のための通所リハビリで出会った絵画教室がきっかけ
  • 失語症でも絵を描くことでの表現やコミュニケーションが変化する

麻痺手を使って絵を描くこともできる

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

初めはリハビリ目的で絵を描かれていた部分もあったということですが、絵を描くことがリハビリになったという事はありますか?

Rさん
Rさん

もちろんありましたよ。

目標として『右手(麻痺手)で絵を描く』ことが目標だったんです。

今となっては楽しく絵を描くことが目的なので、左手で描きながら右手も参加させながら書いています。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

そうなんですね。

利き手でない左手で絵を描くことって難しくなかったですか?

Rさん
Rさん

難しかったです。

左手を使っていた理由としては、右手が良くなるまでの心の支えとして左手を使っていたんです。

先ほど言いましたが、初めは幼稚園の子供が絵を描くようにグチャーっと書いていましたが、どんどんコントロールできるようになってきたんです。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

右手(麻痺手)はどのように使っていたんですか?

Rさん
Rさん

右手(麻痺手)は初めはペンや色鉛筆を使っていましたが、(上肢の随意性の問題で)筆圧が難しくうまくできなかったです。

そこから「どうにかして書けないか」と試行錯誤し、にたどり着いたんです。

筆だと、筆圧は関係なく体幹を使って絵を描けるので、右手で絵を描けたんです。

あと、最近だとパステルを右手の指につけてサーっと描けるのでこれもリハビリになっていると思います。

脳カラ 石飛
脳カラ 石飛

色々なことを試行錯誤しながら右手(麻痺手)も使われているんですね。
自由に絵を描けるという考え方だからこそできるんだな〜と感じました。

  • 結果的に非利き手(非麻痺手)の利き手交換にもつながった
  • 絵の書き方は自由で、麻痺手を工夫して活用することができ結果的にリハビリとなっている

まとめ

今回は、片麻痺当事者のRさんにインタビューをしました。

リハビリ場面で書字練習や絵を描くことなどをよく目しますが、今回のインタビューで絵を描くことで本人が楽しく自分の描きたいものや表現したいことを出せるころが大切だと感じました。

これは絵を描くことだけでなく、朗読、音楽、記事、YouTubeなどさまざまな表現に関連することだと思います。

どんな形であれ、自身の思いをアウトプットすることで自分自身を冷静に見ることができ、新たな気づきが生まれます。その気づきから次のステップや進むべき方向が見つかる可能性が見つかります。

今後も、当事者の方へのインタビューをしていき自分自身の狭い視野が広がればと思っています。

また、この記事を読んだ方にも一歩踏み出してみようや、新しいことにチャレンジしてみようという気持ちが持てるきっかけになっていただけたらいいなと思っています。

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