脳梗塞リハビリにおけるのモチベーションについて

脳梗塞 リハビリ
モチベーション

リハビリテーションを受ける目的は多くの方が「生活を楽に行いたい」「できることを増やしたい」など日常生活での行動や活動を視野入れて行っていると思います。

そして、目的を達成するためには当事者自身の心理面やモチベーションが身体機能の改善と同様にとても重要な視点です。

体が良くなっても心が良くならなければ行動は変わらず、日常生活への汎化はできません。

今回は、当事者の方はもちろんですが家族や医療従事者が知っておかないといけない、生活への汎化を前進させるモチベーションについて解説していきます。

行動心理学から考える 「なぜ人は行動するのか?」

全ての人は、何かの欲求を満たすために行動します。

子どもに「勉強しなさい‼︎」と言っても遊んでばかりで一向に言うことを聞かないなど経験したことありませんか?
口で言ってもなかなか言うことを聞かないですよね。

この時に「勉強したらテストの点数が上がる」「行きたい学校にいける」、中には「テストでいい点取ったら〇〇がもらえる」「モテる」など何かしら欲求を満たせる未来が見えていたらどうでしょうか?

自主的に勉強しますよね。

このように人は何かしら欲求を満たすために行動をしています。

できる動作⇨している動作へ汎化するための欲求と自信

上記で説明したように、行動するためには欲求が大切になります。

しかし、脳卒中リハビリ現場で目標やしたいことはありが、なかなか生活にうつせないといった方も多くいます。

その原因は自信です。

Albert Bandura(1によると「人の行動は、作業遂行における自己の能力に対する考え(自己効力感)と、作業遂行による結果に対する予測(報酬期待)の相互的な作用によって予測される」と言われています。

つまり、”リハビリをすることで〇〇ができて喜んでもらえる”と言った欲求(報酬期待)と、”今の自分の状態でこの動きはできる”といった自信(自己効力感)の2つが重要になります。

欲求と自信の影響が行動を左右する

リハビリを受けている方で欲求と自信の関係性で考えると大きく4つの分類ができ傾向がわかります。

欲求なし/自信なし

〜無気力、興味なし〜

自分の体に対して「何もできない」と感じており、また料理をするためのリハビリをしているが「何のためにしているかがわからない」と感じている。
リハビリに参加しようとしない可能性がある。

欲求あり/自信なし

〜自己批判、抑うつ的〜

自分の体に対して「何もできない」と感じているが、「家族のために料理を作りたい」と欲求はある。
できない自分に落胆して、リハビリを断念するようになる。

欲求なし/自信あり

〜否定的、反抗的言動〜

自分の体に対しては「なんでもできると」と自信はあるが、料理をするためのリハビリをしているが「何のためにしているかがわからない」と感じている。
リハビリを拒否する可能性がある。

欲求あり/自信あり

〜意欲的、前向き〜

自分の体に対して「できる」と自信があり、料理練習についても「家族のために料理を作りたい」と欲求はある。
意欲的にリハビリ参加され、リハビリによる達成感も感じやすい。

リハビリの臨床現場だけでなく、海外の研究で健康のための運動(2に関しても、欲求と自信の相互作用によって行動変容が異なることが示されています。

欲求は内的報酬で考える

欲求によって与えられる報酬は外的と内的の2通りあります。

外的報酬とは、お金や物による報酬で、内的報酬は感謝や喜びなどを指します。

脳卒中後のリハビリにおける報酬は内的報酬が良いとされています。

内的報酬の方が継続的で脳内の分泌物(ドーパミン)が出やすく学習効果も高いとされているからです。

リハビリ場面で作業目標を立てる際は、「自分が〇〇になりたいから長い距離歩きたい」「家族に喜ばれるからこの家事をしたい」など自分や家族など誰かのための目標を立てましょう。

自信をつけるためには適切な難易度設定が必要

自信をつけるためには、適切な難易度設定をして細かい目標をいくつも立てることが重要です。

リハビリをしているけど自信がつかないという方に共通することとして、目標が高すぎるケースが多くあります。

目標が高すぎると目標以外で少しずつできることが増えていても、そこには目が向かず、できない部分に注意が集中してしまうことで、いつまでも自信が持てない状態になります。

逆に、細かい目標を少しずつ達成することで成功体験を積み重ねることができ、リハビリ効果も格段に上がっていきます。
そのためにも適切な難易度設定をした細かなリハビリ目標を立てることが重要です。

まとめ

リハビリ場面において、日常生活への汎化はとても大切なことです。
汎化できないといつまでも「受け身」のリハビリをすることになります。

そして、身体機能の改善も重要であるが、それ以上に当事者の方のリハビリに対して『意味を感じ』、『自信をもっている』といったモチベーション(心理面)が最も重要です。

リハビリという手段を通して、「こんなことがやってみたい」「新しい目標ができた」など当事者自身が前向きになればリハビリセラピストからの卒業は目前です。

”脳カラ”では今回説明したような、関わり方ができるように意識しながらリハビリを行なっています。

わからない点や相談したいことがありましたらお気軽にご相談ください。

文献

  1. Bandura A:Self-efficacy:The Exercise of Control.1997
  2. Schuster C,Petosa R,Petosa S:Using Social cognitive theory to predict intentional exercise in post-retirement adults.1995

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