運動と感覚の関係性

脳梗塞 リハビリ

『身体と感覚は表裏一体』

体の動きと感覚は切っても切り離せない関係を持っています。

つまり脳梗塞のリハビリを考える際に身体と感覚をセットにして理解する必要があります。

この記事では脳梗塞リハビリで重要な身体と感覚の関係性について解説します。

脳を変えるためには体を動かすだけでは変わらない

脳梗塞後のリハビリで「筋力が足りないから筋トレしましょう」「体が硬くならない様にストレッチしましょう」この様なことを言われた経験ありませんか?

そして、筋トレやストレッチをしているけど、「麻痺による動きにくさが一向に良くならない…」と悩んでいる方も多くおられます。

では、なぜ筋トレやストレッチでは麻痺による動きにくさは変わらないのか?

原因は、体は動いている(動かされている)が脳自体の活動が乏しい状態となっているからです。

脳が能動的に活動するためには『感覚』がとても大切になります。

「あれ?筋トレやストレッチでも感覚が入るんじゃないの?」

この様に疑問を持った方も多いのではないでしょうか?

厳密に言えば感覚は入り、脳も活動はします。しかし、意識的に感覚を感じながら動く場合と比べると脳の活性度は大きく異なるのです。 

脳梗塞のリハビリにおいて『感覚』はとても重要になるんです。

『感覚』を感じることで脳は変化する

サルの研究から、人工的に脳梗塞をつくり、5ヶ月間自然回復に任せたところ、手に関連する脳領域はほとんどなくなり、肩に関連するの脳領域が拡大していた。(1

その後、サルにリハビリを実施し、麻痺手を使ってつまむことが再びできるようになると、代償的に拡大していた肩の脳領域が再び、指の脳領域に変化していた。(2

つまり、脳梗塞によって変化した脳領域は触れる、動かすなど『感覚』を感じながら適切にリハビリを行うことで【脳】が変化する。

つまり脳には可塑性があることを示しているのです。

脳梗塞後の楽な動きにつながる感覚とは?

人間の体に日々情報として入ってくる感覚はさまざまあります。

感覚の種類
  • 視覚:目から入る情報 「見る」
  • 聴覚:耳から入る情報 「聞く」
  • 嗅覚:鼻から入る情報 「嗅ぐ」
  • 味覚:舌から入る情報 「味」
  • 体性感覚:皮膚や関節から入る情報 「触れる・動かす」

脳梗塞後に【脳】の変化で楽な動きにつながる感覚は、触れる・動かすといった『体性感覚』です。

普段は体性感覚の情報を自動的に脳が認識して、意識しなくてもさまざまな体性感覚情報に対応できます。

脳梗塞により脳が損傷すると特に、感覚が感じにくかったり、動きがわからないといった感覚障害が起こります。

感覚障害により感覚が感じにくいから良い方を優位に使ったり、視覚情報に頼って動くことを脳が選択します。

この代償的な働きにより損傷側の脳領域が縮小したり活動が少なくなってしまいます。

つまり、意識的に『体性感覚』情報を感じながらリハビリを行うことが脳梗塞後のリハビリにとってとても重要なんです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今まで筋トレやストレッチ・マッサージなど体を動かすだけのリハビリになっていた方で、変化を実感できなかった方は意識的に感覚を感じることができていなかったのではないでしょうか。

「動かす量が多くなれば脳も変化するんじゃないのか?」

もちろんリハビリにとって量も大切になってきますが、量と同程度に質(感覚)も大切になります。

体の動きと感覚は表裏一体で一緒に考えていかないといけません。脳が変化することで楽な動きにも繋がっていきます。

「今のリハビリに疑問を感じている」「何年も同じリハビリを続けて変化がない」と悩んでいる方は、一度ご相談ください。

脳梗塞・脳出血のリハビリは”脳カラ”考えることで変化を実感できる可能性があります。

文献

  1. Nudo RJet al:Reorganization of movement representations in primary motor cortex following focal ischemic infarcts in adult squirrel monkeys.1996
  2. Nudo RJ et al:Neural substrates for the effects of rehabilitative traning on motor recovery after ischemic infact.1996


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