リハビリ依存が本人・家族に与える影響

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リハビリテーションにより楽に動けるために重要なことは、当事者の運動学習を適切に導くことです。

脳卒中後の麻痺による動かしにくさを改善するためには、リハビリスタッフからの指導・指摘は必要不可欠です。

しかし、リハビリスタッフからの指導を与えすぎることで依存が起こり、適切な運動学習に繋がらない場合があります。

今回は、リハビリテーションを進める際に業界としても課題となっている依存ついて考えていきます。

リハビリ依存の可能性がある方
  • 在宅でのリハビリを3年以上続けている方
  • リハビリスタッフの指導がなければ課題を解決できない方
  • リハビリで行なっていることが生活でできない・していない方
  • 家族へ介助を依頼することが多い方(できるのに依頼する)

一般的な依存について

脳梗塞リハビリ依存

依存とは、他に頼っていること、生きることを言います。

そして、特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめれない」状態になることを『依存症』といいます。
(医学的な定義は、ある特定の物質の使用に関してほどほどにできない状態に陥ることを依存症と呼ぶ)

2種類の依存症

依存症には大きく分けて2種類あると言われいます。

依存症の種類
  1. 物質への依存
  2. プロセスへの依存

1.物質への依存

タバコ依存

アルコールや薬物といった精神に依存する物質を原因とする依存症状のことをいいます。

依存性のある物質の摂取を繰り返すことによって、以前と同じ量や回数では満足できなくなり、コントロールも自分ではできなくなります。

2.プロセスへの依存

物質ではなく特定の行為や過程に必要以上に熱中し、のめり込んでしまう症状のことを指します。

代表例として、ゲーム依存などが挙げられます。

どちらも繰り返す、より強い刺激を求める、やめようとしてもやめられないことがその方の生活や周囲の方へ影響を与えることが1番の問題になっています。

リハビリテーションにおける依存について

一見リハビリテーションと依存は関係ないと思う方も多いと思いますが、実は上で説明し「プロセスへの依存」がリハビリへの依存と関係しているのです。

リハビリテーションとは、「全人間的復権」であり自分らしく生きるための権利ということが本質としてあります。自律性がとても重要になります。

しかし、退院してからもリハビリをしている方の中には何年も何十年もリハビリスタッフと一緒にリハビリを行なっている方も多くおられます。

いつの間にか、「リハビリスタッフがいないとリハビリができない」、「指導してもらわないと何も解決しない」などリハビリスタッフへの依存している状況になっている方もいます。

そして、結局いつまでも自律性は育まれず、リハビリを受けないといけないといった状況になっていることが問題なのです。

※リハビリテーションについてや自律性をまとめた記事は以下になります。

リハビリ依存が与える家族への影響

リハビリへの依存が強くなりすぎると、家族への影響も大きくなっていきます。

リハビリ依存により、自律性が低下して自分で考えたり解決したりすることが難しくなる方もいます。

その結果、生活場面におけるセルフケア動作(食事、排泄、入浴など)や移動する場面で家族への助けを求めることが多くなり、介護負担も増えていくケースもあります。

本人家族へ与える影響
  • 自律性の低下(自分で解決する力)
  • 介護負担が増える
  • 家族の自由時間が少なくなる

リハビリ依存から抜け出すためには

リハビリ依存から抜け出すために重要なことはリハビリスタッフからの指導を少しずつ減らしていくことです。

学校教育やスポーツの現場でもよく言われていることですが、指導の量が多すぎると依存が強くなり、結果的に学習効果やパフォーマンスが上がらないと言われています。

リハビリテーションも同様に『楽な動きを身につける』『自分に合った生活や生きがいを再獲得する』といった学習になります。

つまり、リハビリ依存により指導が多くなると結果的には学習効果はあがりません。

なので、指導の量を少しずつ減らしてひとりでできることを増やしていくといった観点はとても重要です。

リハビリスタッフとのコミュニケーション

リハビリスタッフとのコミュニケーションもとても重要です。

指導を受けるではなく、『一緒に考える』といったコミュニケーションを行うことで自律性が育まれていき、自分で考え、自分で自分自身の体や心をコントロールできます。

↓↓リハビリスタッフとのコミュニケーションについては以下のまとめ記事を参考にしてください。↓↓

まとめ

人が何かに依存することは当たり前のことであるが、度が過ぎるとそれなしでは生きていけないといった状態になり、脳に影響を与えることを理解する必要があります。

リハビリテーションと関連して考えていきましたが、「リハビリスタッフが教えてくれるから」「生活になるとできなくなる」といったリハビリへ依存している方はたくさんおられます。(無自覚の方が多い)

そうなるとなかなか自分で考えて、自分で解決する自律性は育まれません。

リハビリテーションは自律に向かって一緒に支援していくことが理学療法士の役目だと私は思っています。

わからないことや疑問点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考

  1. 厚生労働省:依存症についてもっと知りたい方へ
  2. Wulf-Schmidt.The Learning of Generalized Motor Programs:Reducing the Relative Frequency of Knowledge of Results Enhances Memory-1989

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